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千住博 × 山形緞通

以前から山形緞通のじゅうたんはご存知だったという小林氏が
実際に工場で生み出されるじゅうたんの色と技術に深く感動していただき、
今回のプロジェクトがスタートいたしました。

デザインする上でもっとも大切にしていることは
空間と使う人とじゅうたんのバランス、と語る小林氏。
ふとした日常の美しさを取り込んだ小林氏の‘足もとからのおもてなし’には
日々の暮らしへの思いがデザインに込められています。

インタビュー

心を動かす色との出会い

心を動かす色との出会い

山形緞通のじゅうたんは以前から展示会で拝見させていただいていて、第一線で活躍している建築家やデザイナーの方がデザインを手がけているすごいプロジェクトだと思っていました。

初めて工場にお伺いした時に、新しいじゅうたんを加工して経年変化させる「マーセライズ」という手法を見学させていただき、それによって生まれる鈍い色味にとても感動を覚えました。なぜなら、その色の鈍さは今の暮らしにすごく合わせやすいなと感じたからです。僕はデザインする上でバランスを一番大切にしていて、空間の中に家具や使う人がいる時に一番良いバランスにしたいという思いがあるんですね。今回の新作のじゅうたんではマーセライズに頼らずに、山形緞通の色作りの技術を使って、今の暮らしに合う鈍さのある色を、職人さんと試行錯誤しながら開発していきました。

新作について

新作について

テーブルの木目や太陽の光などの、さりげない日常の美しさを取り込んで、じゅうたんを表現したいと考えたのが着想のきっかけです。
まず『TOCHI』ですが、トチの木目は数ある樹種の中でもとても独特で、 シルクのような光沢のある表情を持っているんです。その表情がじゅうたんに合うのではと感じて、トチの木目を抽出し、色味や彩度を調整して『 TOCHI』のデザインに落とし込んでいきました。

『KOU』に関しては光の表情をモチーフにデザインをしたいという思いはあったものの、デザインの切り口に頭を悩ませていました。そんな時に窓越から見えた景色――夕方、夜中、朝方と移り変わる色の景色が全て違っていて、とても美しいなと気づいたんです。そこからインスピレーションを得て、光の色が移りゆく美しさをじゅうたんに落とし込みたいという思いから『KOU』をデザインしました。

じゅうたんのある暮らしを伝える

じゅうたんのある暮らしを伝える

僕は家具とは二つに分類できると思っています。一つは椅子やソファのような体がふれる「人に近いもの」、もう一つはテーブルやシェルフのようなほとんど動かすことのない「空間そのもの」。じゅうたんは空間を構成する一つであり、空間を作る上で一番最初に決めていくものなんじゃないかと考えています。じゅうたんは家具の中でも空間の印象を大きく変えられる力をもっているので、普段の暮らしでも積極的に使っていただけるといいなと思っています。

じゅうたんによって暮らしが変わったり、楽しい時間を過ごせることが伝えられれば、じゅうたんのある暮らしに共感してくださる方が増えていくんじゃないかなと思います。