ものづくり
「 品質こそ、デザインなり。 」
山形緞通の最大の特徴は、製品の極めて高い品質と耐用性です。特に、手織りのじゅうたんは、百年ご愛用いただける最上級の品質であり、歳月の経過につれて、その風合いと肌触りが艶やかに増してゆきます。これらを支えるのは、上質な原料(羊毛)に対する創業時からの研鑽とこだわり。そして、日本で唯一、糸づくりから染色、織り、仕上げまで、じゅうたんの全製作工程を自社工房で一貫管理する、厳格な生産体制です。工房に深く息づく「品質こそ、デザインなり」の精神が、ものづくりを支えています。
じゅうたんづくりの工程
原料
原料となる羊毛は、上質なニュージーランド産羊毛とイギリス産羊毛です。選び抜いた複数種を、剛直性、弾力、柔軟性、肌触り等の観点から、各製品に最適な割合でブレンドし、オリジナルの原料を用意します。
染色
専門の職人を有する自社の染色工房で、羊毛の試験染め、耐摩耗、耐光テスト等を繰り返し、各製品に最適かつ、堅牢な染色を行います。染色工房には、これまで山形緞通が制作した2万色以上の染色羊毛がストックされています。
織り
自社のデザイン室で作成された各製品の原寸大製作図面(設計図)に合わせて、「手織」と「手刺」の2種類の技法で、じゅうたんを織り上げます。緻密かつ繊細で、根気を要する織り工程は、山形の職人たちの集中力が発揮されます。
[ 織りの種類 ]
手織(ており)
山形緞通の原点です。方眼紙のように細かな原寸大製作図面に合わせて、職人が縦糸に毛糸を結び、カットします。一段ずつじゅうたんを織り上げ、専用の道具で織目の密度を一定に整える。この作業を一日数千回繰り返します。繊細で正確な反復作業が求められる高度な手仕事であり、一日に織り上がる長さは数センチ程度です。
手刺(てさし)
手織緞通の量産化を図った製法です。原寸大の製作図面を基布に転写し、フックガンという専用の工具で羊毛を打ち込み、刺繍のようにじゅうたんを織っていきます。職人が工具と一体になり、図面に対して正確な動作を行うと共に、常に一定の力で高密度に羊毛を打ち込んでいくには、修練による高い技術を要します。
仕上げ
織り上げたじゅうたんに、表面仕上げのシャーリング、エンボス仕上げのカービング、シルケット加工のマーセライズ、手鋏やピンセットによる毛分け、端(耳)のなだらかな調整、遊び毛のカット等、製品に応じた様々な仕上げを施します。最後まで、緻密な職人の手仕事を経て、一枚のじゅうたんが完成します。