コラム

1961年・The Gordon Bar, Tokyo

1960年代〜80年代にかけて、インテリアデザインという言葉が定着する黎明期から、建築・室内設計・家具・海外情報と事例等を読者に紹介してきたインテリア専門誌「JAPAN INTERIOR DESIGN」。

当時の貴重な様子や設えが窺える豊富な写真や図面、建築家やインテリアデザイナーたちによる寄稿がどれも非常に興味深く、コツコツとバックナンバーを集めています。

バックナンバーを読み進めていくと、ときおり思いがけず私たちがものづくりで携わったクレジットを発見することがあり、とても驚くと共に嬉しくなります。

同誌1961年9月号に掲載されていたのは、東京の東銀座にあった「バー・ゴードン」。黒澤明「羅生門」(1950年) の美術を手がけた、映画・舞台美術監督の松山崇が設計したバーです。

そのまま映画の舞台になるのではと思える上品で瀟洒な「バー・ゴードン」は、いわゆる文壇バーとして様々な作家たちが行き交ったそうです。

当時の松山氏の寄稿には、「床はベージュのじゅうたんを敷き詰め」とあります。刻々と夜が更ける中、ほの暗く照らされた社交場の足もとに、ベージュのじゅうたんがひっそりと寄り添っている風景に思い馳せました。


……….

The Gordon Bar, Tokyo (1961)
A rendevous designed by a set designer

所在地:東京都・東銀座

設計:松山崇
施工:株式会社子俣組
家具:寺尾工場
敷物:オリエンタルカーペット株式会社
照明:内山電気工業株式会社
衛星設備:斉藤工業株式会社
冷房設備:日本トレーディング株式会社
面積:51.84㎡

写真引用:JAPAN INTERIOR DESGIN 1961年9月号
出版:株式会社インテリア

2024.02.13

[ その他の記事 ]