コラム

映画「魔女の宅急便」

世界中のじゅうたんのある風景をご紹介します。

今年は宮﨑駿監督の82歳にしての最新作、『君たちはどう生きるか』が公開され話題となりましたが、映画を通じた生活描写、そしてじゅうたんの描かれ方が丁寧で凄いなぁと感じる宮﨑監督の作品が、『魔女の宅急便』です。

ヨーロッパ風の(と思しき)家々の生活空間の中では、当たり前のように、土足での生活に適した形で、ラグやじゅうたんが室内に自然と配されています。

たとえばそれは、キキが出発の際、荷造りをするシーンのクッションとして。配達先のエントランスホールの、仕切りや泥除けとして。


⁡家具やテレビと共に、大きなサイズでリビングの設えとして。そこには、犬がのんびりと寝そべり、小さな子どもがぺたりと床にそのまま座っています。


⁡隅々まで、人々の暮らしがその設えと共にどう在るかが観察され、優しく描かれていること。ただただ感嘆するばかりです。

画面に漲る説得力、現実をさらに超えて繰り広げられるリアリティのある生活描写は、そうした数えきれない細やかな設定、ディティールの積み上げによって生まれているのだな・・・と、その想像力と徹底に背筋が伸びます。

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写真引用:魔女の宅急便 (ロマンアルバム)
出版社:徳間書店
発行年:2001年

2023.11.15

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