コラム

「安曇野ちひろ美術館」

世界中のじゅうたんのある風景をご紹介します。

今回は、長野県・安曇野市の「安曇野ちひろ美術館」へお邪魔して参りました。

まずは、建築家・内藤廣さん設計による、安曇野の緑、風、光、水が生き生きと取り込まれ循環する美しい美術館と公園に、思わずため息が。

そして、美術館内部のキッズスペースには、建築家・中村好文さんと、グラフィックデザイナー・イラストレーターの葵フーバーさんによる、素敵なコラボレーションがあります。

子どもたちの遊び場として、wall to wall サイズのカーペットを葵さんがデザインし、その上には美術館の家具を手掛けた中村さんによる、世界の名作椅子をモチーフとした遊具が並んでいます。

華やかな配色のカーペットの上では、子どもたちが其々好きな色を選んで手に取ろうとしたり、その上で陣を取ったり、お気に入りの椅子を選び運んで遊んでいるとのこと。なんて、微笑ましい光景でしょうか。

物心つく前に、世界の不朽の名作椅子に子どもたちが触れられる仕組みや、素足で汚れを気にせず遊べるよう入り口にひっそりと脱ぎ置かれた小さな靴など、子どもたちを見つめる温かく優しい眼差し、遊び心に感動しました。

誰もが床面でも安心して過ごせるカーペットの機能と、デザインや配色次第で空間も気分も大きく変わる心理的な特性が見事に活かされた、見事な提案と風景でした。

小さな椅子たちと、スイスで約25年前に制作されたというカーペットは、今もとても綺麗なまま歳月を重ねており、美術館に携わる皆様と、沢山の来訪者に大切に使われ続けてきた様子が伺えます。

心あたたまる風景に出会えて、本当に良かったです。励まされる気持ちになりました。このインスピレーションを、今後のものづくりに活かして参ります。

 

2023.12.05

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