コラム

ガラスの家 / フィリップ・ジョンソン / 1949

世界中のじゅうたんのある風景をご紹介します。

今回ご紹介するのは、ワンルームの世界的名作住宅、フィリップ・ジョンソン『ガラスの家』(1949年)です。

壁面が全てガラス張りで構築され、四季折々に美しい風景が映し出されるこの名作住宅で、特筆すべきはじゅうたんが見事に空間に対して、ひとつの部屋を生み出していること。

広々としたワンルームの中に、大きな長方形サイズのじゅうたんが誂えられ、チェア、デイベッド、オットマン、ティーテーブル、スタンドライトの家具一式を絶妙に配することで、ごく自然にリビングルームが立ち現れています。

なんと、この家具配置は、1949年の竣工以来、まったく配置を変えていないのだそう。

考え尽くされた見事なプランと家具配置は、「芸術新潮」2009年6月号「特集 中村好文と訪ねる建築家の究極のすまい フィリップ・ジョンソン邸へ行こう」に詳しく、かつ、大変面白く、お薦めです。

以下、同特集より、中村好文さんの本文を一部引用させていただきます。

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居間の見どころのひとつは、絨毯の上に、ミース・ファン・デル・ローエ(1886〜1969)のデザインした家具が非対称に配置されているところです。1949年にこの建物が完成して以来、ジョンソンはこの家具はおろか家具の位置まで、まったく変えたことはありませんでした。

あるとき、女性客が腰をかけた拍子に椅子をずらしてしまい、すぐにそのことを詫びたのだそうです。そのとき、ジョンソンはすかさず「気にしないで! ちゃんと定位置に戻せるように定規が作ってあるから」と言ったそうです。定規とは恐れ入りますが、驚いたことに家具の定位置を示した寸法入りの図面も残っています。

ついでに言葉の達人でもあったジョンソンが、この絨毯を褐色のレンガの海に浮かぶ「いかだ」と呼んだことも、覚えておいてくださいね。

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写真引用:芸術新潮 2009年6月号
テキスト引用:同上 30 p
出版社:新潮社
発行年:2009年

2023.12.04

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